【教員コラム〜教員から生徒へ〜】

本校では、毎日放送朝礼が行われます。その中で、月曜日は校長先生から、木曜日は様々な先生方から生徒へのお話がされます。宗教的な内容やその時期にあったお話、生徒へ伝えたいメッセージなど様々です。

【朝礼講話:「学園テーマ」について2024年5月2日(木)担当:宗教科渡辺顕一郎先生

おはようございます、今週もようやっと終わりを迎え、明日から待望のゴールデンウィーク後半戦ということもあり、連休中の予定を考えながら過ごす人もいるのではないでしょうか、今朝は、宗教科の年間テーマについてみなさんにお話ししたいと思います。毎年宗教科では、仙台白百合学園に在籍している皆さんに一日一日を有意義に過ごしてもらうべく、年間テーマを設定しています。ちなみに今年の年間テーマは、「あなたは誰の隣人となるお恵みをいただきましたか-創立者ルイ・ショーヴェ神父様のこころに触れて考える-」です。

ところで、テーマの副題に書かれているシャルトル聖パウロ修道女会の創立者であるルイ・ショーヴェ神父様ってどのような方だったのでしょうか。史料を辿っていくと神父様は1664年南フランスのペルトュイという町で生まれ、学校で司祭としての学びを深めたのち、1694年6月にフランスのルヴェヴィルという村に派遣され、司祭としての生活をスタートさせたと記録が残っています。当時、ルヴェヴィルでは教育も受けられず貧困に苦しむ子どもたちの姿がいたるところにありました。そのような子どもたちの窮状に心を痛め、村の若い女性の協力を得て教育事業をはじめたのが修道会や白百合学園のルーツだとされています。最初の教室で神父さまが少女たちに何を語ったのかは残念ながら記録が残っていないため、わかりません。ただし、読み書きや裁縫など自立した生活をするために必要な知識を教える他に、少女や村人たちと暖かな心で接し、人として生きるために大切な教えを伝えたことが史料から伺えます。人として大切な教えとは、「わたしがあなた方を愛したように、互いに愛し合いなさい」というイエス・キリストの教えそのものでした。「あなたは神様や家族や友人といったようにたくさんの人たちから愛されて育ってきていますが、あなたたちの身の回りの人たちはどうですか?この村以外に住んでいる人たちはどうですか、みんなが愛や幸せを感じながら暮らせていますか?」といったことや、「もし愛に飢えている人や困っている人たちがいたら、たとえ自分が損をしたとしても、温かな心をもって隣人のために行動しなさい」ということをことあるごとに少女たちに投げかけたのでないないかと思います。少女たちもまた、温かい心で自分たちに村の人たちに接してくれる神父様の姿やメッセージに感銘を受け、愛を受ける人から与える人に成長してきました。

さて、ここで生徒の皆さんに僕からお願いしたいことがあります。神父様が困窮している人たちの生活を間近で見、当事者たちの切なる声に耳を傾け、村の人々のために行動を起こしていったように、みなさんも今年一年、家族や友人と過ごす時間を大切にしつつも、二の足を踏まずに外の世界に飛び出してき国籍、言語、立場、性別問わず、学校にいては出会わないような人々と出会い。それぞれが置かれている状況を知っていきましょう。あなたの隣人とはだれなのか、その人たちのために自分にできることは何なのかを知るためにも、他者を知ることが大切です。どうか一つ一つの出会いを大切にしていってください。これで朝の話を終わります。

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