【教員コラム〜教員から生徒へ〜】

本校では、毎日放送朝礼が行われます。その中で、月曜日は校長先生から、木曜日は様々な先生方から生徒へのお話がされます。宗教的な内容やその時期にあったお話、生徒へ伝えたいメッセージなど様々です。

【朝礼講話:聖母月 2024年5月9日(木)担当:宗教科半澤康至先生

皆さん、おはようございます。風薫るさわやかな季節5月。青葉、若葉がとてもきれいな季節です。大気の状態が不安定となり、今週はぐずついた天気の日もありましたが、晴れ渡った5月の空は本当に心がおどります。カトリック教会では5月を聖母マリアの月、「聖母月」と呼んでいますが、今日はその「聖母月」を中心としたお話をしたいと思います。

カトリック教会は長年聖母マリアに対し、特別の崇敬を表してきました。それは、ルカ福音書1章に記されている通りです。ガリラヤ地方のナザレの地に住む一人のおとめのところに、ある日天使が遣わされます。 「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる」とあいさつし、「あなたはみごもって男の子を生むが、その子をイエスと名付けなさい。その子は偉大な人になり、いと高き方と言われる・・・」。マリア様は「男を知らないのに・・・」と疑問に持ちますが、それが神のご意志と分かると、「私は主のはしためです。お言葉どおり、この身に成りますように」と、全存在をあげて神のご計画を受け入れました。ルカ福音書6章には「貧しい人々は幸いである。神の国はあなたがたのものである」という記述があります。皆さん、きっと耳を疑うことでしょう。豊かな者は、ともすると神の存在を忘れ神から離れるが、貧しい者は全身全霊を神に預け、神との絶対的な信頼関係が生まれる。神への忠誠心が強い貧しい者は、みことばを生きることを日々努め、神の祝福を受けるので、本当の意味で幸いな者といえる、と解釈できます。そして、マリア様の信仰と謙遜こそ、私たち人間誰もが学ぶべき態度ではないでしょうか。 5月の聖母月の由来は千何百年も昔の歴史にさかのぼります。キリスト教が初めて入った頃は、ローマでは異教の神々が拝まれ、5月は「女神の月」とされていました。キリスト教が広まり、その国の文化習俗がキリスト教化されると、やがて「女神の月」が「聖母の月」と呼ばれるようになりました。

さて、今週の聖句と聖歌は、原則として、まず初めに聖句を選び、次にその聖句に合った聖歌を選ぶようにしています。学校行事、典礼暦(教会の暦)、季節等を考慮し、年度初めに宗教科で選定しています。

皆さん、聖歌集を開きましょう。5月の今週の聖歌、90番「あめのきさき」、81番「あおばわかばに」、14番「しあわせなかたマリア」は、いずれも「聖母月」にちなんで選ばれました。「しあわせなかたマリア」は日本人が作曲した「アヴェ・マリア」です。また、曲目の右下に作曲者のイニシャルが入っているものがあります。聖歌集の初めから終りまで見ていくと、TSとATのイニシャルが多いことに気づくと思います。TSはカトリック教会で歌われている典礼聖歌の作曲の第一人者・髙田三郎(たかた さぶろう)先生のイニシャル、ATは元白百合女子大学教授で白百合ファミリーの新垣壬敏(あらがき つぐとし)先生のイニシャルです。最後に、ぜひ、週ごとに変わる今週の聖句を味わい、心をこめて聖歌を歌うようにしましょう。お話を終わります。


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